すべての平和への祈り
随筆:平和への祈りについて
2010年、アメリカのオバマ政権は、広島平和記念式典にルース駐日大使を出席させた。
これに伴い、広島に原爆を投下した米軍のB29爆撃機「エノラ・ゲイ」の元機長の故・ポール・ティベッツ氏の息子、ジーン・ティベッツ氏は同年8月5日、CNNテレビの報道番組に自ら電話をかけ、行かせるべきではなかった
と不満をあらわにした。(日本に対する)無言の謝罪と受け取られかねない
と政権の決定を批判し、原爆投下で戦争終結が早まり、多数の命が救われた。我々は正しいことをした
とのポール・ティベッツ氏の生前の主張を述べた。
ティベッツ氏のような、原爆投下の正しさを主張するアメリカ側の言い分(理屈というべき?)はあまりに有名だが、少なくとも私は同意出来ない。
仮に「もし9.11がなければ、○○が代わりに発生し、より多くの米国人の命が失われた可能性がある。よって9.11は正しい」といった説を唱える人がいたとする。それがなんらかの観点で間違っていないとしても、同意する人はおそらくいない。アメリカ国外でさえも。なぜならあまりに配慮がなく、無神経極まりない発言だからだ。
正しい戦争、正しい殺戮は、存在しない。
もっともそのような解釈でなければ、戦時中のこととはいえ、核兵器使用当事者の父やその実子であるご自分のアイデンティティを否定することになるので、ポール・ティベッツ氏とジーン・ティベッツ氏に限っては、発言に至るまでの心理的な背景を、私は察したい。
日本は、過去の尊い犠牲の上に今日の社会があることを、唯一の被爆国として、おそらくは世界のどの国よりも知っている。
そしてアメリカにさえ、原爆投下は間違っていたという意見や、戦争反対の意見が存在することを、忘れてはならない。
「終戦記念日でなく敗戦記念日だ」など、小手先の言葉の表現の違いもしばしば論議にあがるが、私は単純に平和への祈りを捧げたい。
それが、過去の歴史の中で散った様々な国家や無数の方々への何よりの鎮魂であると、信じている。
政治も宗教も、権力やお金と結びついたときに、あるいはそれを目的とした戦争となった瞬間に、際限なく残酷になる。そして社会的地位や立場の低いほうから、人命が軽んじられていく。
人間が、過去を学ぶことのできる動物だとすれば、いつの日か「戦争」という言葉が、現実には意味をなさない、辞書や歴史にしか登場しない概念という時代がくればいいと思う。
小学生の作文みたいな文章だが、それでも、誰もが一度は願うことだと思いたい。
憎しみの連鎖を断ち切れる、その日がいつかくることを信じて。
兄さん、僕たちの物語は憎しみの歴史にピリオドを打てるだろうか。
「アメリカン・ヒストリーX」
世界に戦争がなくなりますように……世界中の人がなかよく平和にくらせますように
「サイボーグ009」
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- すべての平和への祈り
- FOCUS ON THE PRAY FOR EVERY PEACE
- 公開:2021年08月15日
- 更新:2023年07月12日
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