CROSSWHEN

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松本隆

都会の吟遊詩人

松本まつもとたかしは、作詞家である。1949年7月16日生まれ。東京都港区出身の男性。

主に1970年代に活動を始め、1980年代の松田聖子への提供、1990年代、2000年代に至る数々の代表作を持つ、屈指のヒットメーカーのひとりである。公式ウェブサイト風待茶房かぜまちさぼうは2010年8月まで運営されていた。

作家としては、映像的な表現の作風で知られる。紡がれる世界は、常に美しく、感情や風景の描写が卓越していて、詞の伝えようとする事象が鮮明に響き渡る。洒落ていて、都会的で、時に幼く、あるいは大人っぽく、凛々しく、まさに夢のひとときを魅せてくれる。言葉だけでこれだけの表現ができるものなのかと思うほどだ。そして綺麗なだけでなく、汚れ、危険、死など、現実の暗く重い部分も描くが、巧みな表現で華やかさを与えられている。10年、20年経過したのちに見ても、古びた印象をさほど受けないものが多い。

よく、彼の作品にはいつも似た表現(ガラス、海、街、風、光、○○色、○○の○○などなど)が並ぶだけだという意見がある。確かにそうだが、ではこれらの言葉を使って商品価値のある作品をあなたも書きなさいと言われても、たぶん殆どの人は仕上げられない。簡単そうに見えて実はすごく難しいこと。どの分野でもそうだが、プロ(玄人)とアマ(素人)の違いとはそういうものだと思う。


彼の詞には、プロフェッショナルの気品がある。本来ならば辞典に載っている程度の幾つかの意味、定義しか与えられないはずの言葉が、彼の手腕の中では無限の命を帯びてくる。言葉がきらきらして、生きている。

松本隆氏を「都会の吟遊詩人」「永遠の少年」などいろんな呼び方する向きもあるが、どれもそれなりに的を射た言い方だと思える。

以前、お笑いタレントの藤井隆が「松本隆さんの作詞した曲が歌えるなんて!」と雑誌で喜びを語っていたが、気持ちがとてもよく分かる。私も歌手ならばプロデュースされてみたい。

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松本隆
Takashi Matsumoto
公開:2021年07月16日
更新:2022年06月11日