冒険者たち
生き残った者の掟
『冒険者たち』は、ロベール・アンリコ監督による映画である。日本では1967年に公開された。本編113分。
飛行機操縦士の青年マヌーと、自動車エンジンの改造や開発に熱中する中年男性ローラン。ローランの仕事場に材料探しにやってきた芸術家志望の女性レティシア。
ある日、マヌーは凱旋門に絡む嘘の話にひっかかり、飛行士の免許を剥奪される。ローランは新型エンジンのテストに失敗する。レティシアはようやく開いた個展を、新聞の批評家たちに軒並み酷評され成功の道を閉ざされる。
傷心の三人はふと聞いた、ベルギーのコンゴ移住者が動乱から逃れる途中に海底に残したという莫大な財産を見つけるため、宝探しに出る。
1960年代のフランス映画でも特に知られた作品だろう。公開以後、様々な映画作品や世界の映画監督に影響を与えた。
夢見る大人たちの、友達とも恋人ともつかない、微妙で素敵な関係。それぞれに楽しく陽気でありながら、表情にはどことなく陰もある。
財宝探しを主軸に進む物語は、中盤のとある人物の死をきっかけに急展開し、切ない結末を迎える。なお、マヌーを演じたアラン・ドロンは、フランス映画界を代表するといっていい二枚目スターだが、この映画では珍しく、ヒロインにもてない男を演じている。
フランスというお国柄ゆえか、監督や演出などが素晴らしいのか、映像も音楽もとても綺麗で、眺めるだけでも充分に楽しめる。紺碧の海、ヨット、財宝探し、三角関係、美男美女、味のある中年男性、要塞島、銃撃戦、そして、……。映像やテーマだけでも、大人向けの寓話としての要素を完璧に揃えている。加えてあの有名なテーマ曲である。口笛を効果的に使ったテーマ曲だけでも、この時代の映画特有の風格がうかがえる。
この映画の日本での題名は「冒険者たち」。フランス語での映画の題名を直訳したものだが、とても素敵な題名だと私は思う。
あらすじをよくよく辿れば、かなり悲惨な物語なのに、優れた演出や役者の演技の素晴らしさで、永遠の名作となっている、そんな作品のひとつではないかとも私は思う。
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- 冒険者たち
- LES AVENTURIERS
- 公開:2021年05月18日
- 更新:2022年07月16日
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